暗号資産(仮想通貨)について勉強していると自然と目にする「ステーキング」という言葉。預けておくと利子がつく、みたいな仕組みだとふわっと理解していましたが、改めてステーキングについて調べてみました。ざっくりステーキングの概要や、参加方法のパターンについてまとめます。
なお、コードベースの「ステーキングの仕組み」については個人的に興味がある部分なので、こちらはもう少しちゃんと理解してからまとめることにします。
ステーキング=PoS(Proof of Stake)とは?
ステーキングとは、で検索したら検索上位にでてきたSBI VCトレードさんのサイトでは、このように解説されていました。
暗号資産を保有し、ブロックチェーンの安定稼働に貢献したことの対価として報酬(暗号資産)を受け取ることができる仕組みのことです。
わかるようでよくわからない。
その理由の1つは、「ブロックチェーンの安定稼働に貢献」という部分だと思います。貢献とはなにか???
調べたところ、この文脈での貢献とは、ざっくり言うと取引のチェック係として働くことのようです。

ブロックチェーン上では、「AさんがBさんに1コイン送った」といった取引を、誰かが「これは正しい取引か」と確認したうえで帳簿(ブロック)に記録していく必要があります。銀行なら銀行員がやってくれるこの仕事を、参加者が手分けして担うわけです。ステーキングでコインを預けた人は、このチェック係(検証者と呼ぶそうです)の候補になります。
そしてもう1つ、コインを預けること自体にも意味があるようです。多くのPoSでは、チェック係に選ばれる確率は預けたコインの量が多いほど高くなります。なので、悪意のある人がチェック係の座を奪ってデタラメな帳簿を書こうとすると、大量のコインを買い占める必要が出てきます。
真面目な参加者がたくさんコインを預けているほど、攻撃に必要なコストは上がっていく。つまりコインを預けて参加すること自体が、ネットワークの防御力になっているようです。

なぜこれがネットワークの防御力になるのか?
ブロックチェーンには中央の管理者がいません。そのため、「誰に帳簿(ブロック)を書かせるか」「嘘を書かれたらどうするか」という問題がつきまといます。
この解決策としてのステーキングの役割は、stake(ステーク)=「賭け金」の名のとおり、コインそのものを賭けさせることです。
帳簿を書く権利は預けたコインの量に応じた抽選で決まり、不正をすれば報酬をもらえなかったり、方式によっては預けたコインの一部を没収されたりします。この没収の仕組みをslashing(スラッシング=罰金没収)と呼びます。
一方、マイニング=PoW(Proof of Work=計算競争)においては、「計算競争に電気代というコストを払わせる。嘘を書いてもブロックが無効になれば電気代が丸損だから、正直に書いたほうが得」という、意外とシンプルなものでした。
つまりPoWもPoSも「不正すると損をする状況を作って正直さを担保する」という人情?を利用した対策であり、賭けているものが電気代かコインか、という違いのようです。
ステーキング参加方式の種類
さて、ひとくちにステーキングと言っても、コインによって参加スタイルがかなり違うようです。調べた範囲で5つ挙げてゆきます。(仕組みによる厳密な分類ではなく、参加する側から見た体験の違いで分けています)
1. ソロステーキング
自分でコインを預けて、自分で検証用のサーバー(ノード)を24時間動かす、直球のスタイルです。
例えばEthereumの場合は、32ETHをまとめて預ける必要があります。日本円にすると執筆時点(2026年8月末)で1,100万円前後というまとまった額で、さらにノードを止めずに運用し続ける技術力も要ります。ノードが止まっていると、参加できなかった分の報酬が減ったり少額のペナルティを受けたりします。さらに二重署名のような不正な動きをするとslashingで没収される、なかなか責任の重い方式ですね。
2. プールへ委任
「まとまったお金もサーバー運用の技術もないよ」という人向けに、多くのチェーンには**委任(デリゲート)**という仕組みがあります。プール(ステーキングの共同運営者)に検証作業は任せて、自分はコインの「票」だけを貸すイメージです。
例えばCardano(ADA)のケースでは、コインは自分のウォレットに保有したまま。ウォレットの中で「私はこのプールを応援します」と旗を立てるだけでOKです。
報酬の分配はチェーンの仕組みそのものに組み込まれているので、プールが報酬を持ち逃げたり多く抜き取ったりすることもできない仕様です。最低額もハードルが低く、委任先はいつでも変えられるなど、ステーキング初心者には嬉しいですね。
3. チケット制の投票
次は、Decred(DCR)です。こちらは、チケット制となっています。
- コインをロックしてチケット(くじ引き券のようなもの)を買う
- チケットは抽選でランダムに選ばれ、当たるとマイナーが作った新しいブロックへの投票(このブロックは正しい、という承認)を行って報酬をもらう
- 投票が終わるとロックされていたコインは戻ってくる
このチケット=投票権は、ブロックの承認だけでなくDecredのルール変更などを決めるガバナンス投票にも使われているようです。単なるステーキングの方式というより、Decredの自治の仕組みの中心になっているようですね(難しい・・・)。
またこのチケットは、価格が変動制です。買いたい人が多いと値上がりし、少ないと値下がりする自動調整になっていて、執筆時点(2026年8月末)ではチケットを1枚買うのに290DCRほど必要でした。
そして、いつ報酬がもらえるのかがわからないという点は少し気になります。いつ投票の順番が回ってくるかは運次第で、平均だと28日ほど、運が悪いと4か月近く待つこともあるそうです。
ちなみにこちらも、投票は24時間いつでも即応できる必要があるため、自前でノードを常時起動しておくか、投票だけを代行してくれるサービス(Decreditonなどのウォレットに付帯した機能)でも参加できます。手数料も非常に低く、公式サイトのVSP一覧を見ると、執筆時点ではどのプロバイダも1%以下でした。
なおDecredにはEthereumのようなslashingはなく、投票をミスしても没収はされません。報酬がもらえないだけで、ロックしたコインはそのまま戻ってきます。
4. リキッドステーキング
ロック方式の弱点は「預けている間、コインを動かせない」ことです。これを解決するのがリキッドステーキング(liquid=流動的な)で、代表例はEthereum上のLidoです。
Lidoにコインを預けると、代わりにstETHという「預かり証」のトークン(コインと同じように送ったり売ったりできるデータ)を受け取ります。この預かり証自体を売ったり別の用途に使ったりできるので、「預けているのに動かせる」状態になる、というわけです。
手数料は報酬の約10%。便利な分、預かり証の価値が本体のコインとズレるリスクや、預け先の仕組み(スマートコントラクト)自体の不具合リスクといった、他の方式にはない種類のリスクを背負うことになります。また、預けたコインの運用先でslashingが起きた場合、その損失は預かり証の保有者全員で按分して負う形になります。
5. 取引所のステーキング代行
最後になりましたが、いちばん手軽なのがこちらです。取引所にコインを置いたまま「ステーキングする」ボタンを押すだけです。
その代わり、手数料は報酬の10〜25%程度とかなり高めです(銘柄や取引所によってはもっと高いようです)。また、それ以上に、コインは取引所に置いたままの状態をキープしなければいけなくなるので、コインを動かす権利(ウォレットの記事で書いた、秘密鍵の支配権)そのものも取引所が持っています。ある程度保証はあるかもしれませんが、取引所が破綻した・ハッキングされたなどのリスクがあります。